疫病退散の願いを込めた見事な地上絵!「虎姫田んぼアート」(ドローン空撮)
長浜市虎姫町地先にある虎御前山。この山は織田信長が小谷山の浅井長政を攻めたときで、尾根上には信長をはじめ木下秀吉、柴田勝家などの陣地跡がずらりと並んだ山で有名。
その山の麓に開けた水田に、魔よけの像「角大師」を描いた田んぼアートがくっきり浮かび上がり、山の展望台から訪れた人たちの目を楽しませています。
田んぼアートは田んぼをキャンバスに見立て、色の異なる稲を植えることで巨大な絵や文字を作るアートのことを言います。
今回はこの田んぼアートを空撮しました。人目線では虎御前山の展望台から見学になるのですが、さすが鳥目線のドローンは、どの角度からでも撮影が出来るため、見応えがある映像が撮れました。
ここのアートは、長浜市の虎姫地域づくり協議会が、地域の活性化のために2015年から始められた田んぼアートで、毎年描かれ地域の名物になっています。
しかし、昨今の新型コロナウイルス禍を受け、規模は例年の半分程度の三反一枚の田んぼに縮小されています。
活動母体である協議会では、過疎化・高齢化が進む中、子どもから大人まで、地域住民が世代を超えた交流を通して絆を深め、先人が残した地域文化の伝承を通して、みんなで活力の溢れる町づくりをしていきたいという思いから、この活動は始まったそうです。
田んぼアートの定番となっている絵柄は、地元出身の平安時代の高僧「角大師」です。角大師の鏡に写った姿が鬼になり、その絵を刷って配ると疫病がなくなったという故事にちなんで、毎年、角大師をモチーフ下絵が描かれます。
特に昨今の新型コロナウイルス禍を受け、その蔓延に対する収束への願いを込めて作られておられます。
田んぼアートの図柄以外の背景にあたる緑部分には、食用に広く栽培されている美味しいコメで有名な品種「コシヒカリ」です。
図柄の部分には古代米と呼ばれている在来種のうち、観賞用品種の稲で、これらの葉や穂の色によって紫色、黄緑色、白色、橙色、赤色といった色の違いが出来るため、それで図柄が描かれます。
イネが大きく育ってしまえば色は明確になるのですが、田植えの時は大変らしいです。完成する図柄を予想しながら、決められた場所に決められた色になる品種のイネを植えなければなりません。想像するだけで、大変な作業となることが目に浮かびます。
そんな大変な苦労して作られたのが田んぼアートなのです。見事に浮かび上がった角大師の絵を見ていると、皆を困らせている新型コロナが退散してくれるような気になりますね。