世にも珍しいデザインの洪水吐

 ダムは大自然の風景の中にある巨大な人工建造物。構造はコンクリート、ロックフィルやアースなど色々とあるのですが、規模の大きさにより知名度が違います。

 そんなダム本体の構造ではなく、ダム機能に欠かせない構造物が非常に珍しいダムがあります。琵琶湖につながる野洲川上流にある青土(おおづち)ダムの余水吐きはとてもユニークな構造をしています。今回は片道2時間をかけ、その姿をドローンで撮影すべく出かけてきました。なお、青土ダムはバブル景気初期の62年度に完成した「多目的ダム」です。

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 「余水吐(よすいばき)」は、ダム湖から余分な水を流す放流設備です。大雨時にダム湖への大量の洪水流れ込みに対し、ダム堤体をオーバーしてダム決壊につながらないように、一定の水位以上の水を下流に流す重要な役割を持っています。

 一般的にはダム堤体の一部を矩形に掘り下げ、そこから下流に放流します。しかし、ここの余水吐は他にほとんど例のない半円状です。それが2つも並び、放水時はダム湖の水面にぽっかりと2つの半円状の穴が開き、そこから水が流れ落ちていくという、まるで宇宙のブラックホールと言えるような神秘的な光景が見られます。このダムは、いわゆるダムマニアにとって目を外すことの出来ないダムであるとともに、最近は、その話が知れ渡り、一般の人々も見に訪れる名所にもなっています。

 ただし、いつでも余水吐から水が流れ落ちているわけではありません。私も2時間かけて出かけたタイミングは、大雨の後でした。しかし、今回投稿した空撮動画を見てもらえばお判りの様に、オーバフローしている量は僅かでした。常にダム湖が“満タン”なわけではなく、年間でも余水吐が機能している日は僅からしいです。

 洪水吐は、非常用の洪水吐とそれ以外の余水履きの二段階の構造になっています。常時の余水吐でもさばききれないくらいダム湖の水位が増えた際、その8メートル上にある非常用の洪水吐から水を流す仕組みになっており、非常時の洪水履きはまだ一度も使われたことはないそうです。

 今回は、そんな世にも珍しい洪水吐を空撮してきましたが、ブラックホールと言えるような光景を収録ことは出来ませんでした。しかし、そのユニークな構造は分かって頂けると思います。ぜひご覧ください。

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