天野川河口の造形美を空撮 絶景
日本最大の琵琶湖から流れ出る川は瀬田川と琵琶湖疎水の2本のみですが、注ぐ河川は117本もあります。それぞれの河川の延長は短く、伊吹山系や比良山系などから流れ出る急流河川を経て、平地では長年をかけて肥沃な扇状地を作り出しています。
今まで何本かびわ湖に注ぐ河川の河口付近の空撮をしてきましたが、今回は天野川です。天野川の上流は、長岡のゲンジボタルが国の特別天然記念物に指定されており、川沿いにたくさんのゲンジボタルが飛び交う姿がみられることで有名です。
今回の天野川河口の絵になるポイントは、山から運ばれた土砂で造られた小さな岬があり、そこに、柳の木が生え、砂浜と木々の空間はまさに自然の造形美です。地上目線でもそこに夕日が落ちていく景色は絶景に値します。また、結婚式の前撮り写真の撮影場所にも採用されている風光明媚な場所でもあります。今回はそこの景色を鳥目線で空撮してみました。
話は変わりますが、天野川河口に漁港や旧朝妻湊(あさずまみなと)跡と一体となって整備された緑地公園があります。敷地内には西行の歌碑、朝妻湊跡の石碑などがあり、地方史を超えた歴史の堆積を感じさせてくれています。
朝妻湊は古くより交通の要衝として栄え、東海・北陸地方の人の行き来や荷物の運搬など、湖上交通の要港として発展してきました。歴史上でも秀吉が京の大仏殿建立の際、尾張や美濃から木材を運搬し、木曽義仲の後続部隊の出陣時にも朝妻湊を経て戦地に向かうなど、重要な役割を果たしてきたそうです。しかし、江戸時代に入り、彦根藩主の井伊氏が米原湊を開設し御用港とすることで、かつての賑わいは失われてしまったとのことです。
今は整備された港がありますが、昔の面影も残す公園も併設され、対岸には、自然が造り出した絵になる小さな岬があります。その景色を見ていると悠久の歴史を感じつつ、癒される場所です。通常はそばを走る湖岸道路を車で走り去ってしまい、立ち止まられた方はあまりおられないと思います。公園には無料の駐車場もありますので、一度立ち寄ってみる価値はありますよ。